イノベーション論からみたデジタルトランスフォーメーション(DX), Innovation Theory on Digital Transformation (DX)
類 市川 and
Tagui Ichikawa
No 21-02, IIR Working Paper from Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University
Abstract:
近年、国内外において、デジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が高まっている。特に国内では、最近、ITコンサルタント等による多くの書籍が発行されつつあり、これらは、現場での経験に基づく非常に洞察深いものである。一方、DXについて、これまでの経営学・イノベーション論などに基づく議論を行っているような書籍はほとんど存在しない。このような認識の下、本ワーキングペーパーでは、このDXについて、その理論的基盤の確立に資するべく、特にイノベーション論の観点からその位置づけと枠組みを整理することを目的とする。このため、まず、これまでのDXの概念に係る経緯をレビューすることにより、社会のデジタル化と企業のデジタル戦略推進の両概念があることを示した上で、本WPにおけるDXの概念・定義を整理する。その上で、過去の技術・イノベーション史の経緯から見て、汎用技術としてのデジタル技術の進展が如何に社会全体のイノベーションに役割を果たしてきたか、また、そのような中、何故DXの概念が登場してきたのについて説明する。その上で、DXの本質はデジタル技術の利用によるイノベーション(デジタルイノベーション)であることを明らかした上で、イノベーションの定義を踏まえて、DXを3類型に分類する。また、イノベーション経営の観点から、企業におけるDXに係る取組の在り方について論じる。具体的には、そもそものDXに係るイノベーション経営の位置づけ・基本的方向を整理し、上記3類型ごとの取組の方向を示した上で、企業内での情報システム改革、DX推進に向けた組織改革の方向について、これまでのイノベーション・新規事業論等の議論を踏まえて整理する。さらに、社会全体のデジタルイノベーションシステム(DIS)の観点から、社会のDX化に向けた社会システム上の今後の課題を整理する。具体的には、政府自らのDXに係る取組、デジタル人材の育成とITサービス企業(ベンダー)の改革、また、AI・データに係るアーキテクチャ・ガバナンス体制の整備などの必要性などの論点を提示する。
Pages: 40 pages
Date: 2021-02
Note: 2021年2月28日
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