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IMF危機と韓国の貿易(韓国経済システム研究シリーズ№2)

Jeong-Geun Seo
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Jeong-Geun Seo: Yamanashi Women's College

No 308, Discussion papers from ERINA - Economic Research Institute for Northeast Asia

Abstract: 1997年の金融危機以降、韓国の国際収支は黒字基調に転換した。韓国の経常収支が複数年にわって黒字を記録するのは、いわゆる三低景気を背景にした1980年代後半以来のことである。当時の黒字転換は低金利・原油安・ウォン安という好条件が重なったことによってもたらされたのに対して、金融危機後の黒字転換は、内需の急激な萎縮によるところが大きい。単価は輸出入共に下落し続ける一方、物量は増大している。交易条件は純商品交易条件が悪化しているものの輸出量の増大によって所得交易条件は向上している。 商品別に見ると重化学工業品の輸出比率が上昇し、80%を超える水準に達した。中でも情報通信機器をはじめとする電機・電子機器の割合が高まり、全体の30%を超えるようになった。近年の上位三品目は半導体、コンピュータ、自動車で、コンピュータの躍進が目立っている。上位品目の集中度は年々高まり全体の半分強を10品目で占めているのが現状である。 輸入は輸出用、内需用に分けて見た場合、金融危機によって内需用の輸入割合が著しく低下した。その後、景気回復に伴いながらその割合が復調傾向にあるが、まだ以前に比べると低い水準である。また、先進国からの輸入は輸出用の割合が相対的に高い状態にある。 地域別には輸出入とも日米の割合が低下して中国の割合が増している。輸出市場の多様化は貿易摩擦などの軋轢を回避するという意味で、輸入の特定国への依存率低下もどちらかと言えば好ましいと言える。特に日本からの輸入は、内需が危機以前の水準まで回復していないことと機械類の国産化が進んでいることからその割合が低下している。 対日貿易のあり方は韓国経済及び貿易のメルクマールと言え、輸出が増加して経済成長率が高まると対日輸入を誘発する従来の構造からすれば、危機後の対日貿易の様相変化は、今後の貿易収支黒字持続の可能性を示唆するものと思われる。 貿易収支の黒字は貯蓄・投資バランスの反映であるが、今回の黒字持続は投資率の低下に起因している。これから先、投資率が再び高まった場合、さらに黒字が持続するかどうかは予断を許さない。金融危機直後の輸出減は、輸出企業の資金繰り悪化が最も大きな要因であった。韓国政府は緊急に対策を講じ、その後も貿易振興のため金融と保険を中心とする間接的支援を展開してきた。引続き情報の収集・提供などと併せて貿易環境の整備と基盤構築に力を注ぐことになるであろう。 そして課題としては、輸出単価の下落に如何に歯止めをかけるか、輸入に関しては過剰な消費熱をどうコントロールするかが鍵になる。技術開発や導入技術の内部化を通して国際競争力の向上を不断に図って行かねばならない。

Pages: 29 pages
Date: 2003-12
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https://www.unii.ac.jp/erina-unp/archive/wp-content/uploads/2014/09/0308.pdf First version, 2003 (application/pdf)

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