海外現地法人のパフォーマンスと親企業--タイの日系食品企業の親企業データを使った分析--
賢太郎 中島,
Kentaro Nakajima,
亮 牧岡,
Ryo Makioka,
武司 櫻井 and
Takeshi Sakurai
No 578, Discussion Paper Series from Institute of Economic Research, Hitotsubashi University
Abstract:
日本の企業が海外において現地法人を設立する際に、どのような特徴を持った現地企業と合弁を行うのが現地法人のパフォーマンス向上にとって有効なのであろうか。本論文では、このような問題について、タイの日系の食品関係現地法人を対象に、その現地法人のミクロデータおよび当該現地法人の株主である日本企業、タイ企業のミクロデータを用いて分析を行った。具体的にはタイにおける日系現地法人のパフォーマンスを売上高、ROA、粗利益で測定し、それに対して売上高、ROA、総資産、粗利益で測った日本側、タイ側の株主企業のパフォーマンス指標およびその交差項がいかなる影響を及ぼしているかについて計量経済学的分析を行った。その結果は以下の通りである。①タイ現地法人のパフォーマンスを売上高で測ると、タイ側株主企業のパフォーマンス(ROAおよび粗利益)から有意に正の影響を受ける。特にタイ側株主企業のパフォーマンスを粗利益で測った場合に結果は頑健であった。②タイ現地法人のパフォーマンスをROAで測ると、タイ側株主企業のパフォーマンス(ROA)が正で有意な効果を持ち、その結果は頑健であった。③タイ現地法人のパフォーマンスを粗利益で測ると、タイ側株主企業のパフォーマンス(粗利益)が正で有意、かつ頑健な効果をに持つ。④日本側の株主企業のパフォーマンスは、指標の取り方によらずタイの現地法人のパフォーマンスにあまり影響を与えない。以上より、タイに設立された現地法人のパフォーマンスは、親会社である日本企業のパフォーマンスよりも、その合弁先であるタイ側企業のパフォーマンスの影響を受けることが明らかとなった。日本の食品関連企業のタイ進出の目的が、日本への製品の逆輸入からタイ市場での製品の販売に変化したことを反映していると考えられる。
Pages: 26 pages
Date: 2012-09
Note: 41122
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