希望の類型と個人属性: 拡大する希望喪失の社会的背景
有史 玄田,
Yuji Genda and
ユウジ ゲンダ
No 307, Discussion Paper from Center for Intergenerational Studies, Institute of Economic Research, Hitotsubashi University
Abstract:
本稿は、東京大学社会科学研究所における希望学プロジェクトが2006年1月に20歳から59歳の全国約2,000名に実施したアンケート調査を用いて、個人および世帯の属性が希望の保有に与える影響を実証分析した。調査によると、全体の約8割は将来に何らかの希望があり、約6割は実現見通しの伴う希望を有していた。希望の内容は仕事と家族に関するものが最も多かった。希望の保有は現在の幸福感と密接にかかわるが、その度合いは実現見通しの有無によって大きく異なる。希望の意義を生活の活力源等と肯定的にとらえる場合が約8割と高い一方、希望について否定的な考えを有する場合も少数あった。希望を有する個人や世帯の特徴は、その実現見通しや内容などの類型により異なっている。プロビットモデルの推定結果によれば、実現見通しのある希望及び仕事に関する希望を有する確率が高いのは、20代から30代の若年層、高校から高等教育機関への進学経験者、健康状態が比較的良好な場合であった。また本人年収が300万円未満の場合、実現見通しのある希望を持ちにくく、無収入者は仕事の希望を有しない傾向が強くなっていた。さらに年収1,000万円以上の高所得世帯に属する個人ほど実現見通しのある希望を有する確率は高く、年収300万円未満の世帯では、見通しのない希望を持っていたり、希望について否定的な考えを有することも多かった。以上の分析を通じて、日本社会において近年、希望の喪失感が広がってきていたとすれば、その社会的背景として、人口分布の高齢シフト、無業者・低所得者の増加、高所得世帯の減少、健康状況の悪化、進学率の停滞等が影響していた可能性があることを示した。
Pages: 30 pages
Date: 2007-02
Note: 2007年1月
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