EconPapers    
Economics at your fingertips  
 

ロシアの渋滞問題とその解決方法としてのスマート信号システム

ザリーナ アバチェワ

No 89, RRC Working Paper Series from Russian Research Center, Institute of Economic Research, Hitotsubashi University

Abstract: ロシアでは経済成長に伴うモータリゼーションの飛躍的な発展で人々の生活が豊かで便利になった一方、慢性的な交通渋滞が極めて深刻な問題になった。経済・環境・生活に悪影響を与え、大きな損失をもたらしている。歴史の負の遺産により主な原因は道路網の特性と道路の容量の不足であり、そのため道路建設や交差点の整備などの対策が進められてきたが、未だ全ロシアで激しい渋滞が発生している。一方、ここ数年の間にロシアと日本は幅広い分野における協力の進展を見せている。その中で都市づくりやインフラ分野における協力は、ロシアと日本にとって最も将来性のある、相互に有益な分野の一つであることが言える。本稿では、2017年に日露経済協力による都市環境改善のモデル都市として選定されたボロネジでの事業を事例として、交通量に応じて自動的に信号を調整できる日本発のARTEMISスマート信号システム導入の効果を問う。モスクワで実施された実証事業では最大40%の渋滞緩和効果が達成されたため、ボロネジでもARTEMISスマート信号システム事業が渋滞問題を解決に導くと期待される。しかし、首都モスクワの状況はボロネジのような地方の都市と異なり、同じような結果になるとは限らない。その為、実際の効果について検討を要する。ボロネジにおける事業の効果を分析することによって、ボロネジの次にフォローアップ事業として選ばれる地方の都市でも渋滞緩和の効果を実現出来るか否かを推測できるようになる。本稿では、ARTEMISスマート信号システム導入前後における車の速度と交通量というような指標に基づいた交通データを用いた、移動時間、待ち時間や速度変化に与える経済効果の分析モデルを記述し、モスクワ実証事業を再評価した上で、代替シミュレーションを通してボロネジにおける事業の経済効果と投資回収期間を仮説的に分析し、他の地方の都市への展開について考察することを目的とする。

Pages: 34 pages
Date: 2020-12
References: Add references at CitEc
Citations:

Downloads: (external link)
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/70503/RRC_WP_No89.pdf

Related works:
This item may be available elsewhere in EconPapers: Search for items with the same title.

Export reference: BibTeX RIS (EndNote, ProCite, RefMan) HTML/Text

Persistent link: https://EconPapers.repec.org/RePEc:hit:rrcwps:89

Access Statistics for this paper

More papers in RRC Working Paper Series from Russian Research Center, Institute of Economic Research, Hitotsubashi University Contact information at EDIRC.
Bibliographic data for series maintained by Digital Resources Section, Hitotsubashi University Library ().

 
Page updated 2025-03-19
Handle: RePEc:hit:rrcwps:89