カーボンニュートラル実現に向けたイノベーションの可能性: エネルギーシステム変革の歴史・構造を踏まえたグリーンイノベーション政策の方向, Feasibility of Innovation toward Realization of Carbon-Neutrality: Direction of Green Innovation Policy based on the History and Structure of Energy System Transformation
類 市川 and
Tagui Ichikawa
No 21-04, IIR Working Paper from Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University
Abstract:
近年、2050年までのカーボンニュートラルの実現は、世界的な最重要関心事項であり、世界各国においては、その実現のために、成長戦略の一環として、グリーンイノベーションの推進に取り組んでいる。一般的に、カーボンニュートラルの実現については、多くの困難があることは理解されつつも、イノベーション推進によるその実現への期待は高く、また、その実現可能性は完全には否定できない。しかしながら、そのカーボンニュートラルのイノベーションによる実現については、過去の事例を踏まえると社会への普及まで含めてどの程度の時間を要するのか、再生可能エネルギーの導入普及以外にどのような技術システムのイノベーションが必要なのか、また、これらのイノベーションを経済成長につなげるにはどうするかなどといった、イノベーションによる実現可能性やその理論からみた政策の方向については、これまで必ずしも十分に議論はなされていない。このような問題意識のもと、本ワーキングペーパーにおいては、2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、これまでのエネルギー分野とそのシステムにおけるイノベーションに係る歴史と、将来のカーボンニュートラル型エネルギーシステムとのその実現に向けたイノベーションとその政策のあり方の両面から考察を行うことにより、イノベーションによる実現可能な範囲の輪郭を捉え、その政策の方向を提示することを目的とする。具体的には、過去のイノベーションによるエネルギーシステム改革の歴史からみると、カーボンニュートラル実現には過去に前例がない急速でのシステム転換が求められること、近年の日本を含む先進国でのCO2排出量の減少はエネルギー消費と経済成長とのデカップリングの進展が大きな要因であり、そのカーボンニュートラルの実現には特に発展途上では大きな困難があること、日本においても近年再エネの進展は進みつつあるが産業政策的には必ずしも成功しなかったこと、また、今後再生可能エネルギーの普及拡大のみではカーボンニュートラルの実現は困難であり、供給安定性及び供給可能性(エネルギー安全保障)の観点から、システム自体の抜本的な改革とそのための多様な技術のイノベーションをセットで推進することが喫緊の課題であること、そのためには、蓄電・水素システムについて物理化学的視点からの技術的な可能性を見極めるとともに、デジタル技術による全く新たな分散型調整システムの設計が不可欠であることなどについて考察する。その上で、カーボンニュートラル型のエネルギーシステムの特徴を指摘した上で、カーボンニュートラルを実現するためのイノベーション政策としては、環境規制として位置付けに加え、長期的な目標の社会的共有という特徴を踏まえて、バランスの取れたイノベーション政策の構築の必要性であること、また、経済成長における汎用技術としてのエネルギー技術の位置付けとその歴史を踏まえると、カーボンニュートラルの実現だけでは必ずしも経済成長は見込まれず、デジタルイノベーションなどとの連携の下で取り組むことが必要であることなどを論点として提示する。
Pages: 62 pages
Date: 2021-11
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Note: 2021年11月17日
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