EconPapers    
Economics at your fingertips  
 

韓国ベンチャーの特徴と地方化推進戦略 -ベンチャー企業育成政策の成果と限界- (韓国経済システム研究シリーズNo.7)

Tetsuro Takahashi
Additional contact information
Tetsuro Takahashi: Toyama University of International Studies

No 408, Discussion papers from ERINA - Economic Research Institute for Northeast Asia

Abstract: 1997年の金融危機以降、今後の韓国経済を担う新しい企業の発生や知識集約型産業への転換が強く意識されるようになった。特にベンチャー企業への政策的支援が強化された。 本稿では韓国におけるベンチャー企業育成政策に注目し、その成果と問題点を中心に検討した。政府による積極的なベンチャー育成政策は、1997年8月に制定された「ベンチャー企業育成に関する特別措置法」(以下、「ベンチャー特別法」と略す)が根拠法となっており重要である。同法の主要内容を考察した。同法により支援対象のベンチャー企業を政府が認定(確認)する「ベンチャー企業確認制度」が導入された。政府が認定し、「確認」したベンチャー企業に手厚い政策支援が施行されている。まさにこの制度が韓国ベンチャーを特徴づけている。その功罪について論じた ベンチャー企業育成政策が推進された当初、韓国社会でベンチャー企業が成功できる環境があると考える人はほとんどいなかった。積極的なベンチャー政策によりベンチャー創業できるという雰囲気を醸成し、制度整備及び規制緩和など多様な施策により、ベンチャー企業の創業及び成長に大きく貢献した点は高く評価できる。これまでの生計型創業が中心だった社会風土から起業家型創業へと、創業活力の質的な改善に大きく寄与したといえよう。 しかし、他方ではベンチャー確認制度導入直後から、政府系シンクタンクの研究者など多方面から過度な支援需要を誘発しているとの批判が強く続けられてきた。そうした批判を受け、2002年にはベンチャー特別法が改正され、ベンチャー確認基準が強化された。 続いてⅡで、『2003年度ベンチャー企業精密実態調査』を中心に韓国ベンチャーの現状を考察した。ベンチャー企業の現状を、企業数、業種分布、地域別分布、成長速度、技術水準資金事情および創業者の特性など様々な角度から明らかにした。 Ⅲでは、地域経済活性化に果たすベンチャー企業育成策の役割を検討した。「地域革新システム」の構築という視点からテクノパークを中心に地方でのベンチャー集積について考察した。具体的事例として、大邱テクノパークと慶北テクノパークの六年余にわたる事業の成果を考察した。両テクノパークは導入段階、発展段階をへて、現在自立段階にさしかかっている。地域革新システムのハード面の要素を完備してきたといえる。 むすびとして二点指摘した。第一に今後のベンチャー活性化には企業家型ベンチャー創業(entrepreneurial startups)の活性化とベンチャーキャピタル産業の発展が必要不可欠である。特に技術-創業-資本間の相互連携を強化する必要がある。 第二に地域の実質的な産業ニーズに根をはった事業構造を創り出さなければならない。そのためには産学官や外国企業とのネットワーク(リンケージ)づくりが重要であることを指摘した。

Pages: 23 pages
Date: 2004-11
References: Add references at CitEc
Citations:

Downloads: (external link)
https://www.unii.ac.jp/erina-unp/archive/wp-content/uploads/2014/09/0408.pdf First version, 2004 (application/pdf)

Related works:
This item may be available elsewhere in EconPapers: Search for items with the same title.

Export reference: BibTeX RIS (EndNote, ProCite, RefMan) HTML/Text

Persistent link: https://EconPapers.repec.org/RePEc:eri:dpaper:0408

Access Statistics for this paper

More papers in Discussion papers from ERINA - Economic Research Institute for Northeast Asia Contact information at EDIRC.
Bibliographic data for series maintained by Hirofumi Arai ().

 
Page updated 2025-03-19
Handle: RePEc:eri:dpaper:0408